スタバのお兄さん

私は苦いものが苦手だ。

子供の時、春菊は鍋を台無しにする代物だと思っていた(しかも実家はこれをほぼ生で食べさせられたので、ほぼ虐待レベルだ)。

ゴーヤの存在を知った時は、「気でも狂ったのか?これを食べるなんて」と衝撃だった。

なので、もちろんコーヒーも飲めない。

でもやっぱりコーヒーを飲む姿に憧れはある。喫茶店でコーヒーを片手に読書、というのは、「オレンジジュース」とは違う高貴な感じがする。

そこで、高校生の時には友達にも協力してもらってコーヒーにトライ!コーヒー牛乳からトライ!

でも惨敗!

 

大学生になってもその傾向は変わらず、その代わり紅茶は好きで、リーフからいれてよく飲むようになった。

でも紅茶って、お店で頼むとティーバッグのことが多く、「このティーバッグの紅茶のためにこんなお金を払うのはムリー」と思ってしまい、「やっぱりこういう時はコーヒーの方がお得感があるよねー、あー、コーヒーが飲めるようになりたい…」と憧れは消えずにいた。

 

そんなある日。

社会人になって東京に住んでいた時、京都好きの私は彼を誘って京都旅行に来ていた。彼はコーヒーの専門書を読んじゃうくらいコーヒー好き。だから彼のアドバイスを受けて、飲めるコーヒーを求めて三千里の旅はまだ続いていたが、連敗中。

 

2泊3日の旅行の二日目に、私たちは京都三条橋の袖にあるスターバックスに来ていた。

そのスターバックスは鴨川に沿ってガラス張りになっており、夏には納涼床も出る人気スポットである。

そこでまたコーヒーチャレンジ!と「ラテ」を注文してみた。飲めなくても夫が飲んでくれるし。

 

いれてくれていたのは若い男性で、もみあげが渋く笑顔での対応がさわやかだった。

スターバックスラテです」と笑顔で手渡され、キュン。

そしてそして、このラテが私のコーヒー生活の始まりとなったのです。

コーヒーなんだけど苦すぎるわけでもなく、苦さがないわけでもなく、牛乳はクリーミーで、その混ざり具合が最高…

 

おいしい!!!

 

翌日も彼のラテを飲みにお店を訪れたのだけど、彼はお休み。

「コーヒーが飲めなかったけど、昨日作ってもらったラテが美味しくて飲めるようになった」と感謝をことづけて、京都を跡にしたのでした。

その時話した他の店員さんによると、京都大学の大学院生とかで論文に忙しいとのこと。翌年も行ってみたけど、再会は叶わなかった。

 

あれから、レギュラーコーヒーは飲めないけどラテは飲めるようになり、今ではネスプレッソで自分で作るようになった。

 

あの「正和さん」(私の愛する田村正和のもみあげから命名)の作ってくれたラテのおかげで、喫茶店での「大人のポーズ」ができるようになりました(自己満)。

 

「正和」さん、ありがとう!!

 

 

 

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